NIR分析法とは

近赤外線(Near Infrared Ray)と呼ばれる可視光と赤外光の間の波長領域(おおよそ800nm-2500nm)を測定対象物へ照射すると、対象物内に含まれる分子の末端官能基が振動し対象物固有のスペクトル形状が取得できます。

形状が似通った対象物のスペクトル群と対象物内測定対象項目の分析値をマッチングさせ、多変量解析によりモデル式(検量線)を作成することにより分析対象物に応じた分析を行う手法です。

NIR分析法を利用するメリット

分析形式が非常に柔軟

例えば、一つの製品に対し3種類の分析項目があれば、3種類の機器分析や手分析を必要とするため、3種類の分析が揃わないと、1つの製品に対して管理する分析値が得られないません。

NIR分析法を用いることにより、一度製品をスキャンするだけで3種類の分析値の算出が可能になります。その時間わずか1分弱です。

3種類の分析方法から3つのモデル式を作成し、1つの分析メソッドを作成することでこれを可能にしています。

また、弊社取り扱いNIRシステムはコンパクトな卓上タイプであるため省スペースでの分析が可能であり、品質管理室や製造ラインでの分析と場所を選ばないデバイス設計となっています。

コスト効率が高い

一度、モデル式を作成してしまえばルーチン分析が可能な為、何種類もの機器分析や手分析を都度、行う必要が無くなるため分析に関わるコスト(労務費・機器メンテナンス代・試薬代・分析値が得られるまでの日数等)の大幅な削減となります。

不規則表面を検討可能

測定対象物は液体・粉末状・固体・ペーストと形状は問いません。これは拡散反射方式という照射したNIRが測定対象物内を通過・反射して測定対象物の情報を検出するためです。

非破壊的

NIRの波長は比較的長く、そのエネルギーも高くない為、外から直接NIRを照射することで対象物内の情報を取得できるためです。

サンプル調製がほとんど、または全く不要

モデル式作成の段階でサンプル調製の情報が盛り込まれているため、実際のルーチン分析では前処理等のサンプル調製の必要が一切不要です。

工業系におけるNIR分析法の利用用途

・原材料搬入時検査

・製品開発時の分析値取得時間を短縮化(製品開発スピードの短縮化)

・品質管理

・製品出荷時検査

・製品製造時の廃水

・スラッジなどのモニタリング

など様々な用途で利用可能です。

NIR分析法(近赤外分光法)で分析できるものNIR分析法(近赤外分光法)で
分析できるもの

溶液(排水)中の金属イオン・無機/有機アニオン・有機物指標
クロム、カドミウム、鉛、ひ素等の金属、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、フッ素等のアニオン、COD、BOD、TN、pH等の有機物間接指標
スラッジ(汚泥)中の金属酸化物・含水率・強熱減量
Ex.K₂O,Na₂O,Cr₂O₃等
医薬品中の無機/有機成分
化粧品中の無機/有機成分
化学製品中の無機/有機成分
揮発性の高い有機成分

NIR分析法について

近赤外分析(NIR)は、従来の分析法に匹敵する正確さと精度で多成分分析が行える、
すばやく(分析時間 1分弱程度)シンプルな非破壊の分析手法です。

もう1つの優れた特徴として、近赤外分析(NIR)は危険な化学物質、溶媒、試薬を使用するサンプル前処理が必要ありません。
近赤外分析(NIR)には、工業プロセスのモニタリングおよび制御を大きく改善できる可能性があります。

NIR で記録されたスペクトルには、サンプル及びその成分に関して、
様々な化学的および物理的(粒子径など)情報が含まれています。
製薬および化学業界においても、
NIRは25年以上前から積極的に導入されています。

最近では、固体や液体の化学成分を分析して、
製品の品質管理や製造工程のインプロセス・モニタリングに役立てることに
重点が置かれるようになってきました。

原料受入試験の場合、サンプルを受け取ったままの状態で測定し、パターン認識アルゴリズムを用いて、原料の特定と品質確認を行います。インプロセスの測定試験ツールとして、NIR は(統計的回帰手法と連携して)ほぼリアルタイムで化学情報を提供し、乾燥、混合、打錠の工程のほか、主薬の製造プロセスや溶媒の回収システムの制御に役立てられます。
固体及び液体サンプルをサンプル前処理不要(NIR)で高分解能スペクトルを測定可能で、すばやく正確な情報を得られるという点で優れています。
試薬不要で、廃棄物もなく、補助的な化学試薬も不要という利点もあります。
こうした理由から、分光分析は、工業品の品質管理および製造工程チェックに最適です。

NIRを用いると、1回の測定で複数の項目が計測できます。
工程管理の場面では、NIR は、現場で測定ができ、リモートで測定ができる点で優れています―特に、分光計をサンプリングポイントと離れたところに設置できる点が便利です。

NIRは、透明な包装材を通して分析できるため、原材料の品質管理に最適です。また、光の浸透深度を利用して、大きな物質を分析することも可能です。

NIR分析法を用いた定量分析について

測定用サンプルに近赤外光を800nmから照射しながら走査していくと図2のようなスペクトルが得られる。これらの吸収ピークは表1で帰属される例えば水分やタンパク質、脂肪等と関連付けられる。

一つのスペクトルに対して、各吸収ピークが分析項目として関連付けられる。分析項目の分析値はJIS法等で最適な分析法から算出され、一つのスペクトルに対して、分析項目の数だけ紐づけされる。

スペクトル-分析値として紐づけされたデータセットをサンプルのマトリックス性状を考慮して、取得することにより多変量解析を得て検量線モデルを作成する。

その後、得られるモデル式を検証し最適なモデル式が検量線となりルーチン分析が可能となる。

サンプルの検討からモデル構築、ルーチン分析までのフロー(概念図)を図3に示す。

表1
NIR分析のサンプルの検討からモデル構築、ルーチン分析までのフロー(
図2 実際のNIRスペクトル
実際のNIR分析スペクトル
図3 ルーチン分析までの概念図
ルーチン分析までの概念図
図4 NIRの検量線
NIRの検量線
NIRの検量線

図4は図3のフローにより得られた検量線である。横軸は各種分析法で得られる分析値、縦軸は多変量回帰を行った際にNIR分析値として算出される予測値である。図4はZn2+のプロットが1:1の45°線上に相関性を持っていることは、分析値未知サンプルを測定した際に従来分析値と正確さの高い結果が得られることを示している。

このモデル式を実際に外部評価(分析値が既知であるが、モデル式の情報に入っていないサンプルを使用)した結果、ルーチン分析に使用できるモデル式=検量線となる。

その検量線ファイルをNIRシステム本体にインポートし、初めて実運用NIRシステムとなる。

種穀類
  • 小麦の硬さのスコア¹⁹›
  • 小麦の灰分²⁰›
  • 小麦の灰分と魅(ふすま)の混入率の関係²¹›
  • 米の食味計²²›
青果物
  • タマネギの乾物量²³›
  • メロンの可溶性固形物²⁴›
  • モモ果実の糖度⁴›
  • 温州ミカンの糖度²⁵›
  • リンゴの糖度²⁶›
  • リンゴの硬度²⁷›
  • トマトの糖度²⁸›
  • イチゴの硬度²⁹›
畜産物
  • 生乳の赤外法による分析³⁰›
  • 生乳の近赤外法による分析³¹›
  • 生乳のタンパク質,脂質,乳糖の測定波長³²›
  • 生乳のスペクトルから飼料の識別³³›
  • 粉乳の水分,脂質,乳糖,タンパク質³⁴ ³⁵›
  • 脱脂粉乳の水分,脂質,乳糖,タンパク質³⁶›
  • クリームの成分分析³⁷›
  • チーズの脂質³⁸ ³⁹›
  • チーズホエーの水分,脂質,乳糖,タンパク質⁴⁰›
  • チーズの熟成度⁴¹›
  • 牛肉の水分,脂質⁴²›
  • ミンチ牛肉の脂肪計⁴³›
  • ハムの塩分⁴⁴›
  • ミンチ中の大豆粉の検出⁴⁵›
  • 豚肉,牛肉のカロリー⁴⁶›
  • ハムのPH⁴⁷›
  • 牛肉の調理適性⁴⁸›
水産物
  • マスの水分,脂質,タンパク態窒素
  • 透過法によるサケの脂質分析
  • 魚肉すり身中の水の存在状態
  • 乾のりのスペクトルの帰属
飼料品
  • ビールのアルコール(色の影響なし)⁵³›
  • 麦芽エキス分⁵⁴›
  • ホップのα酸⁵⁵›
  • 日本酒のアルコール,酸度,アミノ酸,日本酒度,全糖⁵⁶ ⁵⁷›
  • 清酒製造におけるコウジ菌の破精込み⁵⁸›
  • ファイバグラス製プレートによるジュースのスペクトル測⁵⁹›
  • 緑茶の浸出液の成分(シリカプレート使用)⁶⁰›

上記、表1と図3のフローから測定対象項目は、一般に表2のようにNIR定量分析では食品分野での活用事例が多い。
※【出展:岩元睦夫・河野澄夫・魚住純 近赤外入門 幸書房 2007 138】

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